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『転落』 永嶋恵美

ホームレスになってしまった『ボク』がある日偶然小学生の少女から弁当を手渡される。
その日より『餌付け』されてしまったボクは少女との奇妙な共犯関係の末に辿る転落の運命。


本屋で偶然並んでいるのを見かけて、ふと気になり読んでみたくなった本です。
第一章『教唆』第二章『隠匿』第三章『転落』という3章から構成されているサスペンス物なんですが、一言で言うと不快。いや、この作品を罵っているわけではなくて、読んでいると背筋がスーッと寒くなってくるような、ジメジメとした少しひんやりとした感覚に陥る。
読み進めていくと、その不快感がじわじわと増していくのだが、それでも深みに嵌っていく様な内容、またそう思わせる作者の手腕は確かに見事なものだった。

サスペンスというからには勿論最後には謎が解けて終わりとなる。
謎が解けて終わると普通はすっきり気分晴れやかな気持ちとなるはずなのだが、この本を読み終わった時にはその様な清々しさとは程遠い、重みをずっしりと感じた気がした。
恐らくそれは私達が誰もが併せ持つ、人間の悪、闇の部分のみで描かれているからである。
他人のいない所での勝手な噂話、子供の頃の大嫌いな相手にいつか仕返ししてやろうという気持ち等、ほとんどの人が経験しているからこその『重み』と、そしてこの小説の主要登場人物がほぼ女性…女性ならではの汚い部分、その苦悩、哀しみ(女性の方なら理解できる方もいらっしゃるでしょう)も描かれている『重み』から感じるのだと思う。

そう、この小説に登場する人物はほとんどの人物が悪意で行動している。
所謂名探偵が登場し、真犯人を当てて警察が逮捕とかいう勧善懲悪的なもので無くて、ほとんどが悪意だから後味が悪いったら無い。
個人的に私はそういう話は嫌いではないので、その後味の悪さも本を読む醍醐味だと思ってるけど、そういうのがあまり好きでなかったり、最後はすっきりさせて欲しいという人にはおススメはできません。まぁこの辺は個人の好みだと思うけどね。

中身的なものに関して、第一章の導入部分から第二章中盤までの盛り上がりやドキドキ・ハラハラ感は見事だっただけに後半である第二章中盤から物語終了までのダレてしまった感には正直残念。
第一章から第二章に読み進め、最初は全く違う短編かと思いきや、しっかりと繋がっていたり段々と『ボク』の素性が明らかになっていき、驚きや感動があるものの、第二章後半からは結局その後どうなったのかが疑問だったり(まあ第一章のラストの少女の動機も今一つわかりませんけども)第三章になると急に失速。現実世界から急に漫画の世界の出来事を描いたのかという位の現実味の無さ。キャッチコピーの『衝撃のラスト』とあるけども…『衝撃』…かぁ?
色んなレビューで『衝撃だった』と言われている方もいらっしゃるので、それは捉え方だったり、サスペンスとしての好みだったりで受け止め方は人それぞれ違うのかもしれません。

各所に謎を残したままモヤモヤ感で終了というこの作品の作風なのかもしれないけども、それを考慮しても消化不良すぎる。
第三章から第一章に繋がるんだろうけども、なぜホームレスになる事になったのか、どう繋がるのか、私は1回読んだだけでは理解できず、3~4回読み返し、ようやく何となくだが解った気がする。
もうすこし、ホームレスになってしまい、人格が崩れてしまったのかの心理描写が欲しかった。

余談になるが、解説をしておられる方がスクウェアエニックスから出ているゲーム『ドラッグオンドラグーン』を手掛けてた方だった。
このゲームは相方君がプレイしていたので、記憶に残っている。
永嶋さんはそのノベライズを担当してらっしゃったんですね。
まぁゲームはプレイした事無いし、これからプレイするかどうかは正直解りませんが…。

そして、第二章で描かれていた介護現場について。
多床の所謂従来型の介護老人保健施設の雰囲気が(その悪い所ですが)非常によく伝わってきていた。
実際に取材に行かれたのかそれとも働いた経験がある方なのか…と思う位に細かいところまで描かれていた印象でした。
現在はだいぶ老人施設の雰囲気も明るくなってきており、描かれている様なあまり宜しくない施設ばかりではないという事を、一応、同じ福祉に携わる者として、介護現場のフォローを書いておきます。
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